相続の話は「まだ先のこと」と思われがちですが、いざその時が来ると家族の間でトラブルになるケースが少なくありません。
特に財産の分け方や話し合いの進め方で意見が割れ、関係が悪化してしまうことも。
ここでは、相続トラブルを防ぐために50代・60代のうちから知っておきたい5つのポイントを解説します。
1. 遺言書を残しておく
相続トラブルを防ぐ最も確実な方法は「遺言書の作成」です。
遺言があるかないかで、相続の手続きや家族間の話し合いの負担は大きく変わります。
特に、以下のような場合は必ず作成しておきましょう。
- 子どもが複数人いる
- 再婚している
- 特定の人に多めに財産を残したい
- 不動産など分けにくい財産が多い
遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」がありますが、確実性を重視するなら公正証書遺言がおすすめです。
2. 財産の全体像を“見える化”しておく
相続では、どんな財産がどこにあるのかが分からないことで混乱が生じがちです。
預貯金・不動産・株式・保険・年金など、すべてをリスト化しておきましょう。
ポイントは、
- 銀行口座、証券口座の一覧
- 不動産の所在地・登記情報
- 保険の契約内容
- 借入やローンなどの負債
これらを「エンディングノート」や「デジタル終活ノート」にまとめておくと、家族が安心して手続きできます。
3. 家族と話し合うタイミングをつくる
「遺言書を書いた」だけでは十分ではありません。
家族がその内容を知らず、突然遺言を見せられて驚くケースも少なくありません。
50代・60代のうちに、
「もしものときはこうしてほしい」
「財産はこう分けたい」
と、家族で話す時間を設けることが大切です。
特に兄弟姉妹が遠方に住んでいる場合や、親族関係が複雑な場合は、早めの対話がトラブル防止になります。
4. 名義の確認・整理をしておく
「家は親の名義のまま」「預金口座は昔のまま」という状態もトラブルの原因になります。
相続後に名義変更をしようとしても、登記や手続きが複雑になり、時間や費用がかかることも。
- 不動産登記簿
- 銀行口座の名義
- 生命保険の受取人
などを定期的に見直しておくことが大切です。
5. 専門家に早めに相談する
相続の準備は、家族だけで完結させようとせず、専門家の力を借りるのも賢い方法です。
弁護士・税理士・行政書士など、それぞれの専門家がサポートしてくれます。
特に、
- 相続税がかかりそうな場合
- 不動産の割合が大きい場合
- 家族関係が複雑な場合
には、早めの相談がトラブル防止につながります。
まとめ:相続の準備は“家族の思いやり”から
相続の話は、避けて通りたいテーマのひとつかもしれません。
しかし、今のうちから準備しておくことで、家族に安心を残すことができます。
50代・60代のあなたが、親として、また子として「次の世代に負担をかけない」ための一歩を踏み出すこと。
それこそが、いちばんの“優しさ”なのです。

コメント