お金の終活入門:なぜ必要なのか?

終活というと「葬儀やお墓の準備」というイメージが強いですが、実際にはお金に関する整理がとても大切です。特に50〜60代の子ども世代にとっては、親がどのように資産を持ち、どのように使っていきたいのかを知っておくことが、後々の安心につながります。

もし準備をしないまま突然の出来事が起こった場合、残された家族が大きな負担を背負うことになりかねません。銀行口座の凍結や相続の手続きは思っている以上に煩雑で、トラブルの原因にもなります。だからこそ「お金の終活」は早めに意識しておく必要があるのです。

まず整理しておきたい「お金の棚卸し」

お金の終活で最初にやるべきことは、親の持っている資産を「見える化」することです。子どもが無理に全部把握しなくても、最低限以下の情報はまとめておくと安心です。

銀行口座の一覧

親世代は複数の銀行口座を持っているケースが多くあります。給与振込口座、年金受取口座、貯蓄用、投資用などが分散している場合、相続時にどこにいくらあるのかがわからず、手続きが複雑化してしまいます。メインで使っている口座と、休眠状態の口座をリスト化しておくとよいでしょう。

保険契約の確認

生命保険や医療保険など、保険契約の有無は必ず確認しておきたい項目です。保険証券をまとめておくこと、または保険会社名・契約内容・連絡先を書き出しておくと、万一の際にすぐに対応できます。

不動産や有価証券

自宅や土地、株式や投資信託など、価値のある資産についても整理しておきましょう。特に不動産は相続でトラブルが起こりやすいため、事前にどう分けるのか、親の意向を聞いておくことが大切です。

相続対策は「争族」対策でもある

親が残したお金が原因で、兄弟や親族の間に争いが起きることを「争族」と呼ぶことがあります。実際、家庭裁判所に持ち込まれる相続争いの多くは、遺産が数千万円規模の一般家庭だと言われています。

遺言書を作成する、エンディングノートに意向を書き残す、生前贈与を活用するなど、方法はいくつもあります。重要なのは「自分がどうしたいか」を親が子どもに伝えておくことです。

親子で話しておきたいこと

お金の終活はデリケートな話題なので、切り出し方が難しいと感じる方も多いでしょう。おすすめの方法は「自分の将来を考えるついでに話す」ことです。

自然な切り出し方の例

  • 「もしものときに困らないように、銀行口座や保険をまとめておきたいね」
  • 「最近エンディングノートっていうのが流行ってるらしいよ。お金のことも書けるみたい」
  • 「相続で揉める話を聞くと心配になるから、今のうちに一緒に整理しておこう」

あくまで「子どもが安心したいから」という気持ちを伝えることで、親も抵抗感を持ちにくくなります。

まとめ:お金の終活は家族の安心のために

お金の終活は、親の資産を奪うためではなく「親の想いを尊重し、家族が安心できるようにする」ための準備です。銀行口座や保険、不動産などを整理しておくだけでも、将来のトラブルを大きく減らすことができます。

50〜60代の子ども世代にとっては、親にお金の話をするのは気が引けるかもしれません。しかし、今のうちに少しずつ準備していくことで、親も子どもも心穏やかに日々を過ごすことができるはずです。

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